18きっぷツアー2005 北九州編 その2

小倉駅の看板。
日本中をその支配下におさめつつある、猫キャラの類似品。俗に言うところの著作権侵害。

第1目的地で用件を済ます。
用件とはもちろん、男の身だしなみ「入浴」。エレガントなサラリーマンはモノレールに乗ってでも風呂に入る。

再び小倉駅に戻って、レンタカーを借りる。
そして、この日の最大目的地である、北九州の戦争遺跡、「高倉堡塁跡」へ。
前回の帰省時、雪の為に訪問失敗したのがこの遺跡。リベンジを果たす為にスケイン。


道が正しいかどうかもよく分からないまま歩を進める。

朝方まで雪がちらつく寒い日だが、おあつらえむきの棒を見つければ、内なる炎に身を焦がしてしまう。それが三十路というものだ。

「一つ、棒を持ったらふりまわすべし」


朱印倶楽部筆皇「部内法度」を忠実に守る。

およそ3キロ歩行。
開けた広場の奥に、いきなりその遺構は姿をあらわした。予想以上にすばらしい。

とても明治期に建造されたとは思えないほど、良質な遺構。

換気口の写真を撮影。スーツの上着より短いダウンはきっとエレガント。

後ろぼかし写真撮影に挑戦中の筆皇。
厳しい視線にその本気度をしめすも、目線が入り、いつもと同じ顔にしか見えないのはすこぶる残念。

あちこち歩くうち、一番端の遺構になにやらトラップらしきものを発見。入口から見えるペットボトル…。どうやらホームレスが住んでいるようだ。となると入口の黒いトラップは食料捕獲用か。


捕まったら食べられてしまうかもしれないので、右手に石を持ったまま声をかけるも返事はなし。


この時、脳裏によぎったのはフレーズは下記の通り。
「白骨死体が見られる」

思い切って潜入。
飯ごう、シュラフ、トイレットペーパー…。
生活臭はぷんぷんするが、人影はない。


白骨死体が…。

その後、最初の広場に戻ってみると、さっきは見かけなかった人影。
壮大な遺構には目もくれず、ひたすら足元ばかり凝視してぶらぶら歩いている。筆皇と小声で確認しあう。
「さっきの主だ」。


それでも日本人として最低限のあいさつをしようと声をかけると、意外にもきさくな返事が返ってきた。見かけもホームレスとは思えないほど若いし、身なりも普通。何をしているのか尋ねてみると週一でここに運動がてら来ている人だった。足元を見ていたのは「ふきのとう」を探していたとのこと。
最初、怪しいと疑ってしまったが、よくよく考えると自分たちの方がよほど怪しいことに気づく。
(1)平日の昼に男二人
(2)エレガントな姿(一人は頭にタオル巻き)
怪しいと思ってすいません、身の程知らずでした…。


最初、そのエレガントな格好から役人か教員だと思われたようだったが、単なる趣味であることを話す。お兄さんは36歳、運動不足だからここまで来るとのことだったが、体型的に若干若い自分たちより体力がありそうなのはあきらか。


一通り見て廻ったことを伝えると、「何も見なかった?」と聞かれた。何のことか分からなかったが、俗にいうところの「お化け」のことらしい。お兄さんも信じていないとのことだったが、お兄さんのお婆さんは強制労働させられた当時の人々の怨念がうずまいているとのことだった。
この日は晴れているのであまり問題ないが、曇ってたり、夕方だったりすると、それはそれでかなり怖いらしい。


遺構について色々尋ねてみると、一通りまわったつもりでも、まだまだ見ていない遺構が数多く残っているとのことだった。気さくなお兄さんはふきのとう刈りを一時中断して、あちこち案内してくれた。自分たちだけでは絶対に見つけられないものばかりで大変お世話になった。

せっかくなので、シャッターを押してもらう。


今回のツアー、初の正式公式ポーズ。

「急な坂を下るけど、革靴で大丈夫?」
好奇心旺盛な三十路としては、そんなことで尻込みするわけにはいかない。
「大丈夫です!」


ということで、石柱目指して粘土質の急斜面を下る。


月曜日には仕事で再度着なくてはいけないエレガントな服を汚すわけにはいかない。
こけるわけにはいかない、膝をつくわけにもいかない。
気を使いつつ、溝がない革靴での下りは、哀れな三十路二人組の体力を105%を奪った。

戦闘力の高そうなお兄さんと再度、ホームレス基地へ。もう石をもたなくてもいいし気楽な再訪。やはり人影も白骨死体もない。


冬は雪が積もり、人もあまり訪れないこの戦争遺跡で何を糧にして、生きているのだろうか。
この辺りに出るというイノシシか…。

次の遺跡へ向かう時間を大幅に超えてしまったので、御礼を言って退却。
お兄さんにアドレスを伝える。新たな情報があった場合、送付してくれるそうだ。
人見知り二人組ではあるが、やはり旅先での出会いというものは楽しい。

次の遺構は結局見つけられず。
場所は分かったのだが、車を停める場所がない…。というのが建前で、実際は歩き回る体力が無くなってしまったのだ。


ということで、公園化している手向砲台跡へ。

自分は二回目だったので、あまり撮影せず。


筆皇が見たいというので、宮本武蔵の碑に行ってみると…。
二刀流の木刀をもった着流しのおじさんが、碑の前で蹲踞(ソンキョ)している。足元は裸足…。武蔵に心服している人なのだろう。
そんな人に碑を中心に公式ポーズ「フュージョン」している写真を撮ってもらったら、切り捨てられるのがオチ。
おじさんを隠し撮りすることもできず退却…。

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