熱海城 その4

姫路城のジオラマ。
物理的には姫路城なのだが、脳のフィルタをくぐると「火山爆発で埋れた古代都市」。

木々の枯死ぐあいも火山灰チック。

天守はご覧の通り頭でっかちな感じ。デフォルトの効いた押し出し感はあり。

パネル展示では各地方の城が紹介されているが、パネルの大きさの割には中途半端な展示と言わざるをえない。
詳細な紹介はいらないので城跡にドットだけでもつけとけばそれっぽいのに。

1/100サイズの名古屋城模型。
「1/100」と聞いて、我々第二次ベビーブーム世代は700円ガンダムを思い出さずにはいられない。
あれをこの模型の横に並べてみればMSがいかに大きいかを実感できることだろう。


しかし1/100ガンダムはひどかった。コアファイターむき出しだったし、膝以外足は可動しなかったし。同じ1/100でもガンキャノンの出来は良かったのだが。とにかく、あっという間に爆竹の餌食になったもんだよ。

見るも哀れな安土城。
仮にも自分の三大好きな城の一つがこの有様。


まぁ自分も大人だしこれくらいじゃムキになることもない…

これを見るまでは…。


キィィィィっとなって、つい頭をかきむしってしまった。おかげでただでさえ少ない毛が無用に抜けた。

チープな安土城の隣には妙にリアルで丁寧な城。
そう、われらが熱海城だ。


ちなみに説明板を見るとなかなか興味深い内容が記述されている。
〜北条氏歴代の名将たちも、水五君の根拠地として築城を希望しながら、果たし得なかった所である〜
(ここに城はありませんでした)


〜その規模に置いて、天下の名城とうたわれ、昭和時代に再建された大坂城・名古屋城をはるかにしのくものであります〜
(観光地として有名な両城よりこっちの方がすごいですよ。カモン、カモン)
そして何より興味深かったのは概要の部分で「コンクリート造り九階」とある。
現在立入可能なのは地上6階、地下1階までとなっているが、これでは7階建にしかならない。ということはあと2階分の空間があるということだ。ネットで調べると確かに地下2、3階の存在が記述されているが、情報ソースとしては弱い、ということで駄目モトで熱海城にメールしたところ、翌日に返信が来た。


そのメールによると熱海城はもともとホテルとして建てられたとのことである。
現在もその宿泊施設は過去の残骸として残っています。
当時の熱海城はかなりはやっていたと聞いております。」

若干自虐的な印象を受ける文章が続き、地下2階は大広間、地下3階は温泉施設であったと書かれていた。そして現在は消防法の都合によって閉鎖されているとのこと。この「等」というのは宿泊施設の廃止、入場者の減少等も含まれるのであろうか。そして最後は「これが現在の熱海城です」と締めくくられている。


正直、個人からの痛い質問メールなので無視されるだろうなと思っていただけに、すぐ返信がもらえて感動した。
(翌日も別のことを尋ねるためにメールしたが、これもすぐ返答をもらった。ありがとうございます。)


できればその閉鎖された空間がぜひ見てみたい。その空間を想像して鳥肌が立たないあなたは一般人。それが良いことか悪いことかについてはホイッグ的進歩史観とノーウッド・R・ハンソンの話になり、長くなるので割愛する。

色々な城の瓦が展示されていた。
どれも中途半端なサイズなのだが、右端の篠山城に関してはもはや「カケラ」というレベルである。

展示物は乾燥防止の水が瞬時に干上がる劣悪な環境下にさらされている。

同様に小物の展示。
写真の中のキャプションの66.7%に「片」、つまり「カケラ」の文字。

なんやかんや文句を言いつつも楽しんだ城郭資料館を後にして地下1階へ。
なんか妙に淋しい空間の中、太郎お待ちかねの「浮世絵秘画館」があった。

「18歳未満の入場禁止」
「撮影禁止」
この二大タブーのうち、「撮影禁止」は守ったが、「18禁」を破り、若干3歳の愛息太郎を連れて入ってしまった。


残念ながら現代っ子の太郎にはその日本画が持つ妖艶さが理解できなかったようで、あっという間に走り過ぎてしまった。


ふくらんだ股間を親に見られたくなくて走り去ったのかもしれないが。

熱海を走っていた軽便鉄道のジオラマ。シルバニアファミリー好きな太郎は汽車よりもジオラマの家に興味があるらしい。

昔のデパートを彷彿させる空間の奥には「複製名画即売会」。

こちらは5階の「名画への誘い」よりは有名な絵が置かれている。
定価60,000円が破格の15,000円、なんと75%OFF!


帰りの受付で今まで買った人がいるのか聞いてみたかったが、笑顔のおばちゃん係員を見ると聞けなかった。
モジモジうつむく自分を見ておばちゃんは何かを察したようで声をかけてきた。


「シャチホコで写真撮りませんか?」


どうやら金シャチの前で5秒経ったらしい。

そして気になったのがこの空間。
階段を登ったすぐの所でそれとなく封鎖されている。
城内のあちこちで見られるこうしたギミックの一つ一つが宝探しのようでとても楽しい。

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