陸軍伊良湖試験場 その1
(田原市  2009/1)

正式には「陸軍第一技術研究所 伊良湖試験場」。
明治後期に築かれた大砲の射撃データを収集するための試験場。大正期には監的所や軽便鉄道建設など施設拡充が図られた。戦後は民間に払下げられたが、コンクリート製の建造物を中心に現在も多くの建造物が残存している。
過去に紹介した日出観的所神島監的哨など、周辺地域にも関連した施設が多く見られる。

数度訪れたが、まだまだ全てを見きれていないほど豊富な遺構を持つ。メールでも色々教えてもらったのでまた訪れたいと思う。

田戸神社前にある公園入口に掛けられた試験場跡の看板。手書きな感じが良い。

公園入ってすぐの植木に埋もれていた標柱。「伊良湖射場跡」とある。一応標柱前には枝が来てないので剪定されているのかも。

後述の立哨台近くに残る敷地境界石柱。当時正門近くに立てられていたもので、戦後に現在の場所に移された。

公園入口脇に移設された立哨台。
少し前までは隣に説明板があったようだが、現在は取り払われている。


ちなみに説明板に書かれていた説明は下記の通り。
「哨舎 昭和十三年地区軍技術本部伊良湖射場の正門哨舎として第三師団経理部が建造したものである」

同じ陸軍のものながら関ヶ原の立哨台とは若干形が異なっている。

内部天井付近のドーム状のカーブ。
コンクリート建造物のこのカーブを見るといつもウットリしてしまう。
人のフェチは多種多様だとつくづく思う。

足元部分。
ご覧の通り、特徴なし。

壁面に描かれた落書き。
「恋は〜」とあるが何が書かれているのか分からない。
結構古い落書きのようだ。

公園とは言うものの、敷地内に立てられている公民館らしき施設も半ば廃墟状態。公園奥の遊具に至っては完全に廃遊具となっていた。
遊具については危険だ何だとうるさい昨今、こうした廃遊具が残されているのも珍しいといえば珍しい。


往時は事務所や実験棟、車庫などが置かれていた場所でもある。

公園の奥に残されている脱油庫。

3部屋に分かれており、それぞれ鉄の扉がついているが全て開いている。
死んだ貝がだらしなく口を開いている感じ。

漢心をくすぐる鉄扉のリベット。

内部は漁業関係の倉庫となっていた。

地震とかあったら倒れてきそうで若干危険だが、このあたりの遺構は全般的にそのあたりが大らか。

水産科で使用してい(た)る倉庫らしい。
恐らく立哨台内部の「恋は〜」の落書き犯人はこの字を書いた人だ。

脱油庫横の公衆便所。
男ですら入るのをためらうほど危険な雰囲気を持っていた。

危険防止の為にネットが切られた元遊具。危険と言えばまだ危険なような気もするが、とにかく大らか。

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