硫黄岳・本沢温泉 その3

ついに硫黄岳頂上の2760mに立つ。
天気が良いので写真だとほがらかに見えるが、猛烈な風が吹き、気温も0℃前後だと思われた。体感温度にすればすでに氷点下。


頂上付近で話しかけてきた、おじさんは立派な口ひげをはやしていたが、自分と同じく、鼻水でガビガビになっていた。一通り見える山の説明をしてくれると、一目散に降りていってしまった。

柱につきささるように見える氷。この写真で分かるとおり、風は基本的に同一方向から吹いていて幸いだった。もし四方八方からこの風をくらってしまえば、こけてしまうかもしれない。

頂上にぽっかり口をあける爆裂火口。出来ることなら覗き込んで写真の一枚でも撮りたいところだが、寒さと恐怖で近寄れなかった。

火口の縁。高所恐怖症でなく、勇気はあるけど風はないという条件なら、この縁を歩ける人もいるかもしれないが、自分にはとうてい無理。

山の頂上というイメージとは異なる、硫黄岳の頂上。だだっぴろい広場という感じ。足元はガレ場っぽいが、風が強いのか地表から大きく顔を出す石は見当たらなかった。なにか石畳のようだった。

頂上の南側にあった非難小屋。初めて非難小屋というものを見た。
小屋のの外に、いかにも登山家という感じのお兄さんと、写真撮りにきましたというおじさんが食事をしていた。
小屋の中でもカップルが食事をしていたようだった。

風が強いのでバーナーになかなか火がつかない。小屋の蔭でなんとか着火。コンビニで買った鍋焼きうどんを温める。おにぎりもあったが食べる気にはならなかった。


写真は小屋の入口。写真向かって左側で食事をした。

カップルが去った後の小屋内部。日はあたらないのに風は通るので、多分外より寒いだろう。中に入る気力もなく、カメラを突っ込んで写真だけ撮影。

頂上北側(非難小屋と反対側)から見える、根石岳、天狗岳(2646)。
写真を撮っていると、小屋の外で写真を撮っていたおじさんに話しかけられた。どっちから登ってきたかとか色々話していたのだが、おじさんがふともらした言葉に驚愕。
「単独行はお互い気をつけなきゃいかんね、先週も一人おじさんが滑落しちゃってね」
「滑落って事は亡くなったんですか?」
「そりゃそうだよ、(遺体を)引き上げるの結構大変だったみたいだよ。やっと引き上げたばかりらしいよ。」


おじさんの鼻の下のガビガビを見つめながら、誰か俺をおんぶして下山してくれと心から思ったのはこの瞬間だった。



パノラマ写真なんぞ撮っている余裕もなかったのでバラバラになってしまった写真。八ヶ岳連峰で最高峰となる赤岳(2899)と、右側の写真ではっきり見える南アルプス。日本で二番目に高い北岳もはっきり見えた。

横岳(2829)と赤岳。その間をつなぐ狭い尾根を見ていると、果たして雪が積もっていなくても、高所恐怖症の自分には行けないだろうなと思った。

再び頂上北側。北アルプスがはっきり見える。雪をかぶった槍の穂はいつ見ても素晴らしい。
同時に穂高に登ったのが先週で本当に良かったと思った。日が暮れてからの移動なんぞ、プチ遭難ではすまなかっただろう。

浅間山(2568)。1月に草津へ行った時には前輪が大破して意気消沈する自分に美しい姿を見せてくれた山。

頂上中心部にたつケルン。他のピラミッド型とは異なり、煙突型。


他にも数人登っていたが、この日が平日のせいなのか単独行が多かった。
自分を恐怖の淵に落としこんだ、ガビガビおじさん2号に頼まれてデジカメのシャッターを押すが、寒くてうまく撮れない。おじさんは画像を一度確認するともう一度、自分にカメラを差し出した。

頂上中央部から南側(非難小屋側)を撮影。

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