硫黄岳・本沢温泉 その2

いつ引き返す口実となる事象が起こるかと考えながら歩いていると足元を大きくすくわれた。見てみると分厚い氷が張っている。アイゼン等はもっていないので、これを自分への口実として引き返そうと決意。とりあえずもう少しだけと思って歩いていくと、氷ゾーンを越えてしまった。引き返す口実を無くして意気消沈しつつも前進。

丸木橋。積もった雪でかなり滑りやすくなっていた。橋から落ちると昇天しそうなのでかなりの前傾姿勢で通過。

穂高に比べると、道は単調だなと思っていたが、峠近くなるとやはり石がごろごろしだした。雪が無ければ特に問題ないのだが、やはり雪で滑るのは怖いので細心の注意をはらいつつ前進。変な所に力が入るせいか肩がこる。これで明日もまた筋肉痛だろうなとさらに気が重くなる。

たまに木々の隙間から山が見えるが、やはり退屈な景色が続く。穂高のように登っていくごとに新しい景色が見られるということもない。この辺りが我慢のしどころ。

落ちていた雪を拾いあげてみると。雪というより雹(ひょう)が固まったようにも思える。
どちらにしてもかなり寒い。

やはり1時間強をかけて夏草峠に到着。ここでの景観は結構期待していたのだが、まわりは木々に囲まれてほとんど展望できず。
さらに、こまくさ荘は閉鎖中。なんだか心細くなる。

ここで道は天狗岳方面と硫黄岳方面に分岐。自分は目的地である硫黄岳に向かう。峠から見る硫黄岳はまだまだ遠そうだ。景色が変わらない事もあって疲労は通常の3倍。

夏沢峠を尾根沿いに進み、森林限界を超えると一気に展望が広がる。振り返ると前週に訪れた北アルプスが見えた。やはり北アルプスもこの一週間で積雪があったようだ。


 天狗岳方面パノラマ

森林限界をこえて、まわりがハイマツだらけになると、一気に風が強まる。まわりに高い山がない八ヶ岳はいつも強い風が吹いているらしい。
気温も低けりゃ、風も強いので、どんどん体感温度は下がる。鼻水もたれまくって、鼻の下はガビガビだ。

ハイマツ地帯を越えると、ずっとガレ場が続く。
途中、このように崖と石の間をこえていく場所もあるのだが、強風で体があおられ、かなり恐怖。

大きな岩が転がるガレ場地帯。風が強すぎて、なかなか坐って休憩する気になれない。仕方がないのでこのような大きな石の足元に坐って休憩。

頂上へ続く稜線。ものすごいという角度ではないが、足をくじきかねないないので慎重に歩く。
石に積もった雪で、何度か道を見失いかけたが、ケルンと先行者の足跡を頼りに歩く。

尾根の左側には爆裂火口。強風はこの火口に向かって吹くので、かなり怖い。写真を撮る時には四つんばいになって撮影。立ち止まって火口の方に体を向けると、ものすごい勢いで押されてしまう。

爆裂火口の頂上部。頂上部から火口の底までの高低差は500m以上。この傾斜角からして、落ちればオダブツ。

並んで立つケルンをいくつか通り過ぎて行き、頂上はもうすぐ。
下りの事を考えると少々ゲンナリ…。

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