弥生時代などの遺跡からも堀の跡は発掘されており、古くから区域を防御する方法として存在する。堀を掘った土を積み上げて土塁とすることが多い。
堀とその種類
空堀と水堀
大きく分別すると空堀水堀の二種類に分けられる。空堀は水が入ってない堀(この場合、「壕」ともいう)、水堀は湧き水や河川の水を引き込む事によって水を満たした堀。
基本的に曲輪やある一定の区画をぐるっと囲むように掘り、それぞれの曲輪を独立させている。
外堀と内堀
外堀(外壕)
城や城郭の外郭を囲む堀。人工的に掘られたものや、河川の一部をこれにあてがうこともある。城郭の外に形成された城下町まで含めて堀や塁で囲んだ城を「惣構」と言う。


内堀(内壕)
城の内部の堀で本丸や二の丸を防御している。解釈に差があるので一概にはいえない部分もある。
堀の断面による種類
毛抜堀
箱堀
諸薬研堀
片薬研堀
外郭に用いられる事が多い。
畝堀
堀の底に畝をもうけることによって敵兵の堀の底での自由を奪う。


写真は山中城の畝堀。往時は関東ローム層の土がむき出しとなっていたため、一度掘りに落ちると脱出は難しかったらしい。
障子堀
畝堀と同様、底に畝をもうけた堀。畝が格子状になっているのが特徴。
畝堀の一種で堀の底に木杭等を乱立させる方法もあった。
山城の掘
竪堀
山城・平山城に用いられる。傾斜に対して垂直に掘られた堀。攻城兵の山斜面登りや、横の移動を防ぐ役割を持つ。堀の底が通路となっている場合も多い。敵兵がこの通路を用いて山を登ってくる場合には、低い堀底にいる敵を囲んで攻撃するとも思われるが実際はどうであろうか。


掘切
山城・平山城に用いられる。通常の堀のように曲輪や区画をぐるっと囲む堀ではなく、部分的に掘られた堀。斜面に対して水平に掘られ、尾根や峰に切り込みを入れたような感じとなる。横に掘ることによって急斜面を作ることができる等の効果がある。
実際に山城に行った際に苦しめられるのはこの堀。いくつも越えると体力が激減してしまう。

※掘切は実際尾根や峰の部分(登りやすい部分)に掘られる事が多い。
三日月堀
新府城・新府城縄張図より 丸馬出の外側を防御する堀でその形からこう呼ばれた。武田家の築いた城に多く見られる。これは信玄が角馬出を嫌い、丸馬出を好んで築いたことに起因する。丸馬出前方に展開する堀も必然的に三日月形となるためである。


→馬出