大樹寺その1
(岡崎市  2010/10)

松平家(徳川家)の菩提寺。
松平四代目の親忠は井田野の合戦の後、敵味方問わず戦死者を弔う塚を築いた。しかし年月を経ると亡霊が騒ぎだし、近隣に悪病がはやるなどしたため、親忠は念仏堂を築き、勢譽愚底上人を招いて七日間の法要を行った。親忠は徳に惚れ込んだ勢譽愚底上人を開祖として大樹寺を建立、松平家の菩提寺とした。
八代広忠の時、松平家は今川家の庇護下に入り、長男の竹千代は人質として今川家に送られた。1560年今川義元が桶狭間で戦死すると竹千代改め元康は戦場を離脱、大樹寺に逃げ込んだ。先祖の墓の前で自刃しようとした元康に住職登誉が「厭離穢土 欣求浄土」の言葉を授けて思い留まらせ、寺に迫る織田兵を70人力と呼ばれる寺僧の祖洞和尚が門の閂で追い払うなど、家康の危機を救っている。
人生の危機をくぐり抜けることができた家康はこの寺を厚遇し、寺領616石の朱印状を下している。亡くなる直前には「位牌は大樹寺に」と遺命しており、家康から家茂まで14人の将軍の位牌が治められている。これら歴代将軍の死没時の身長に合わせて(誤差はあるが)つくられた位牌は有料の位牌堂で見ることができる。

本堂など建立当時の建造物の多くは幕末の大火で焼失したため、現在残されているのはその後再建されたものであるが、太平洋戦争時の空襲では焼かれず、荘厳な雰囲気を保って現在に至っている。
見ものは山門から総門を通じて見える岡崎城天守。この山門〜総門〜天守を結ぶ約3kmにわたる線は「ビスタライン」と名付けられ、眺臨を保つために建築規制がかけられている。しかし近年岡崎城付近での高層マンション建設が進んでいることから、景観法による更に強力な保全を目指している。

住 所 岡崎市鴨田町字広元5-1
(0564)21-3917
拝観料  宝物館・位牌堂は大人400円
駐車場
H P


大樹寺と言えば、まずこの入母屋が特徴的な山門。1641年、三代将軍家光によって建立された。

奥に大樹寺小学校を挟んで総門、更にその奥には岡崎城の天守を臨む。

ということで、ビスタラインの説明板。
寺から天守へと続く純和風眺望であるにも関わらず名づけられた「ビスタライン」という名称に違和感を感じないでもない。

まぁ「ビスタ」と言えば、近鉄ビスタカーでしょ。

山門の前は道路を挟んで大樹寺小学校。
かつては境内であったこの小学校の南門が総門となっている。

総門に目が行ってしまうが、手前側の門柱もなかなか立派な大樹寺小学校。初めて見た時は仏教学校かと思った。

総門アップ。かすかに岡崎城天守が見える。
できれば見えている電柱・電線を地中に埋めるなどした方が良いと思う。

…と思っていたら、電柱地中埋設計画が進んでいるらしい。

※H23に再訪問したところ、電柱や電線は見えなくなっていた。

山門脇の階段。
上層には羅漢像などが置かれているが、登ることはできないので見られない。

山門を表側から撮影
。背後はすぐ大樹寺小学校のため、広角でないと門全体をカメラに納めるのは難しい。もっと校門に近づけばいいのだが、このご時勢それもなかなか。
まぁ広角レンズを持ってなくても気が強い人は一度チャレンジを。

あまり目立たないが、山門の楼上に掲げられている額は後奈良天皇によるもので重要文化財に指定されている。

山門から本堂を撮影。
一度境内に入ってしまうとなかなか撮らない構図なのだが、門の額に紅葉と本堂、なかなかいい感じ。

誰も褒めてくれなけりゃ自分で自分を褒めるしかない。

大樹寺の石柱。
何度か来ているのだが、この寺に「成道山」なんて号があるのは知らなかった。

境内の土産屋かつ軽食屋。
味自慢の五平餅やらみたらしやらぜんざいやらとろろやらあんみつやら売ってます。
少々オールドメンなスメルはするが、参拝客のニーズに応えたメニュー。マーケティングがしっかりできている。

位牌堂。
初代家康から十四代家茂までの歴代徳川将軍の位牌が安置されている。ただし十五代慶喜に関しては明治天皇に対する恩義から神式で葬儀を執り行ったため位牌は置かれていない。

五代綱吉に関しては低身長(124cm)で他の位牌と比較してかなり小さいことは知っていたが、実際に見てみると想像以上に小さく、何か衝撃的だった。
なお、7歳弱で亡くなった七代将軍家継の位牌は135cmとデカ過ぎ。

ちなみに位牌堂は宝物館tなどと合わせて有料(大人400円)で入口は本堂の中にある。

毎年5月には写真の供養塔の前で人形供養が行われている。
でも人形供養といえば8月に行った淡島神社のインパクトが強くてねぇ…。

山門近くから撮影した本堂。
まさしく構図の中央に記念撮影用のベンチと三脚が置かれている。臨時用なのか日常的に置かれているのか分からないが、やはり本堂−山門のラインにあまり置くものではないと思うのだが。

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