内藤記念 くすり博物館 その3

袋看板。
昔はこれが軒先にかかっていれば一目でそこが薬屋と分かったそうな。
今で言うと、大型の液晶画面で派手なアニメなどが動いていれば一目でパチンコ屋と分かるのと同じ。

天井にぶら下げられた薬袋。
何のためにぶら下がってるのか不思議に思ったが、説明パネルによるとカビ除け、ネズミ除けとのこと。
なるほど先人の知恵だ。

昔の薬看板の展示。
これは江戸期の「ウルユス」という薬のもの。なぜに英語が書かれているか不明だが、緩下剤とのこと。直ではないが、何となく名前のニュアンスでそれっぽい薬だと分かる。センスあるネーミングだ。

こちらは有名な「正露丸」。
当時は日露戦争にちなんで「征露丸」だったらしい。自分は初めて知ったけど、結構雑学記事なんかで載ってそうだ。

生きてる即身仏っぽいが有名な杉田玄白像。
前野良沢らと共に苦労の末、医学書「ターヘル・アナトミア」を訳した「解体新書」を刊行した。

こちらが解体新書。
現在も使われている、軟骨、神経、動脈はこの本を訳す際の造語。

こちらは世界で初めて麻酔を使って手術を行った華岡青洲の乳癌摘出の際のスケッチ。

西洋画ほどの緻密さは無いのだが、これはこれで結構グロテスク。

グロいと言えば、こちらは宮崎彧という侍医が処刑された罪人の解剖図を記したもの。

生首の写真はたまに見るが、このように力無い半目、半口のものが多い。それだけにリアル。

ちなみにこの罪人の名は三之助さん。どうやら窃盗で斬首されたらしい。

こちら三之助さんの胴体。
左太ももに刀瘡が見える。

ずばり何でしょうか?

答えは斬首された箇所の断面図。
食道、気道、脊髄などの記載あり。

頬を切られ、大口開けさせられてる三之助さん。

口裂け女を想像した人はまだマシ。
自分はパックマンを想像してしまったけど、不謹慎だとお叱りのメールがあるといけないから内緒。

さらに剥かれた三之助さん。

胴体の方が剥かれた図も展示されていたが、まぁこれくらいで。

右は「養生七不可」 by 玄白。
・昨日の失敗は後悔しない。 → OK
・明日のことは心配しない。 → OK
・飲食は度を過ぎない。 → 無理
・変わったものは食べない。 → OK
・むやみに薬を飲まない。 → 無理
・元気でも無理をしない。 → 無理
・適度な運動をする。 → 無理

左は「長命衛生論」
・口数は少なくする。 → OK
・色欲は慎む。 → 無理
・食事は薄味とする。 → 無理
・唾を吐かずに飲む。 → OK
・腹を立てない。 → 無理
・飲食は軽めにする。 → 無理
・あれこれ心配しない。 → OK


うむ、長生きはあまりできそうにない。

「飲食養生鑑」。以下説明パネル。
「高貴な人も庶民も賢い人も愚かな人も腹の中はこの通り」と体内を紹介したもの。暴飲暴食の外と臓器の機能を小人を使って説明している。


隣には同じパターンの「房事養生鑑」というのがあり、こちらは過度の房事(性交)を戒めていた。エッチなHPだと思われると心外なので男性バージョンを掲載。でもホモじゃないよ。

画面の数字を順番に押していく脳年齢テストの結果。ちなみにこの時点で自分は38歳。

負ける訳にはいかないので繰り返しテストし、5回目で32歳が出た。自分に勝てて嬉しかった。

そう、脳年齢は年齢以上だが、精神年齢は永遠の十代だ。

二階に上がって、「錦絵広告に見る病との戦い」コーナー。

現代のように医学が発展していなかった当時、病気退散を願って描かれた絵や、風刺画などの展示で個人的に好きな分野。

こちらは薬と病の戦いの図。
当時の著名な薬がずらりと並び、それらを指揮しているのが器用貧乏な神、神農。

通神鳥という空想の怪鳥がコレラの流行で儲けた「つかみ取り」を絵で表現したもの。
頭は火葬場の人、胸は僧侶、尻尾は薬屋を表現している。

江戸時代の風刺画は、現代の新聞に載ってる政治風刺画なんかより絶対にセンスが良いと思うのだが、いかが。

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