爆釣ツアー外伝 治ちゃん!斜陽でございますかツアー その3

綺麗だから載せてみた。
食事は部屋出しで6時から。ちょっと時間があるからテレビで時間をつぶそうと見てたけど、気がつついたら仲居さんが料理を運びに来てました。そりゃぁねぇ、疲れますよ。クモハの家に朝7時に迎えに行くには5時半に起きてるわけですからねぇ。しかも前日はエロ動画を落としてて寝たのは2時ですよ。
続々と運ばれて来る料理。
「もうちょっとありますけどもう始めちゃってください。」
と言って仲居さんが退出。
すかさずクモハが
「これだけぇ?」
「まさかぁ、もうちょっとあるって言ってましたよ」
「うそぉ、これだけぇ?」
なんだ?筆皇の意見は無視して、なんかこれだけであって欲しい的な感じに聞こえる。何故だ?そういえばクモハが毎回旅館で隠れたお札がないか確かめるのも「有って欲しい」という願望に見える。何だかんだ言ってもやはりこの男も笑いのネタが欲しいに違いない。自分なりに考察すると、いい旅行ってのはやはり数年後にどれだけその旅行の内容を思い出せるかで決まるのではないかと。そのためには色んなキーワードがスイッチとなってシナプスが繋がり、記憶の個室から思い出を取り出す必要がある。その思い出スイッチが最も入りやすいのが感情の起伏によって作られた記憶の個室。本能的にそれを理解しているからこそ笑いを求め、ハプニングを求める。だからこそ・・・
ま、食いますか。来る時に買ってきた酒でも飲みながら。
美味しいよ。うん。美味しい。酒もいけてる。飲みやすい。グイグイいける。
食べてるそばから更に料理が運ばれてくる。すかさず筆皇が
「ほらぁ、結構あるじゃないですか。」
「なんだ?これ?何か妙に硬いのが入ってるな。」
聞いてねぇ!この男食に集中してやがる!一心不乱に食ってやがる!
ううん♪焼きアワビって美味しいね♪濃厚芳醇♪
てか、おなか一杯。いや、おなか一杯だって。もう無理だって。
ってとこでやっと料理が止まった。
おお!日本酒なのに4分の3も飲んでる!
でもちっとも酔っていない。
何故か?あのね、寒いの。この旅館めちゃくちゃ寒いの。暖房30度にしてるのに大して効かないの。オールドタイプの日本家屋、何か風でカタカタ言ってるし。大丈夫か?ここで寝ても大丈夫なのか?永久の眠りに付くんじゃねぇの?ああ!それでコタツがあったのか。さっそく電源を入れてコタツムーリ!
うむ・・・
動きたくない・・・
眠い・・・
朦朧
失礼しまーすと店のオヤジが入ってきた。そそくさと布団を敷き始める。
ち、違うよ!ホモじゃないよ!あれなんだ、そうじゃないんだって!
よし!風呂行こう風呂!8時過ぎてるから今度は2階が男風呂だ。写真撮らなきゃ。
その前に宿の夜景でも撮りに行きますか。たまの旅行で全ての物を満喫しようとするあたりでスラム出身ってのが伺える。
外に出ると浴衣って事を除いてもかなりの寒さ。
宿の前の道を挟んだ正面はすぐ海で波打ち際のいい音がしているよ。波打ち際に足跡が・・・。そうだねぇ、渚のかぎかっこだねぇ。真ん中モッコリ!夕焼け!ニャンニャーン!だねぇ。
必要以上に体を冷やしてオンセンへ向う。自分達の前を歩くちょっと若そうな女子二人組み。もちろん彼女等もオンセンへ向かう。心が若干小躍りする。「何かあるかも!」「ひょっとしたら覗けるかも!」いつまでたっても現実を直視できない中年の儚き妄想を胸に。
2階に上がると入口が二つある。片方は雪駄が二つ並んで脱がれてて、もう片方は雪駄がなかったから、誇り高き日本人として「皆がいる方」へ吸い込まれるように向う筆皇。クモハが「そっちか?」と怪しんでいる。
「いや、だってこっちに人が・・・」
うわーー!!あぶねえええええええええええええええ!!
貸切風呂って書いてある!!活字を読まないって事がこんなとこで!
貸切風呂って石を投げつけたくなるようなラブラブカップルが愛を育むサンクチュアリじゃねーか!スタンドアローンな男二人ではアンタッチャブルなエリアじゃねーか!
命拾いしたぜ。クモハ、あんたぁ命の恩人だ。もし、このまま何気なく入ってたら・・・惜しい事したな・・・
気を取り直して入浴。
2階も内湯と露天が一つづつ。もちろん露天から入浴。もうねぇ、幸せだよ。
ここでもうだつの上がらないサラリーマン二人は長湯をする。はっとしに教えてもらったメイルシュトロームを湯船で楽しみながら約1時間。たっぷりオンセンに浸かったから水分が足らなくなっているはず。
「お!そうだ!1階には地獄のコキュートスで冷やされたようなアルカリイオン水があったじゃないか!」
そりゃもう我等下賎の民はただで飲食できるものには目がない。
階段を降りて「女湯」の立て札のすぐ後ろにあるアルカリイオン水に飛びつきましたよ。
そのさらに奥にはさっきオンセンに向う時に我等の前を歩いてた女子二人組みがマッサージチェアーに座りながらクモハがやっていた足裏マッサージ機を堪能している。が、何かおかしい。強烈な、とても強烈なフリーザのような気を感じる。スカウターで見たら戦闘力50万を超えるような気を感じる。恐る恐るそちらへ目をやるとマッサージチェアーに腰掛けてるフリーザーズがまるで田代ま○しでも見るかのような目つきでこちらを見てる!
開口一番
「びっくりしたー!何でここに入ってくるのかと思ったー。」とか言ってやがる。
何こいつらでかい声で話してるんだ?品のない奴等め。オラは100Gの宇宙船で特訓したんだぞ!おめぇらには負けねぇぞ!とか思っているとまたもやクモハがボソリと「一応ここ女湯のエリアだからなぁ」と・・・
ぐああああ!そうじゃん!オレ完全に「女湯」の立て札の奥に入り込んでるじゃん!そりゃぁ奴等も2段階の変身を経てツルツルの完全体にならぁな!
だが、だがしかし、今更後には引けねぇ!ここで引いたら何かに負ける気がする!いや、負けてるかもしれんが負けを認めた事になる!よくわからんがここから「あ!すいませんでしたぁ!気付かなかった!」と「女湯」の立て札の前まで戻ることはできねぇ!何故できんかもよくわからんがオレには出来ん!
長湯で火照った体が動揺のためにさらに体温を上げるが、平静を装い絶対零度に近かったはずの水を頭痛を起こす事無く2杯平らげ「ふあ〜、うめぇ〜」と奴等に聞こえるように若干声が上ずりながら言い放ちオンセンを後にした。
そもそも聞こえるように言うのが気にくわねぇ。見りゃわかるだろ。水飲みにきたって事が。大体女って奴ぁよぉ、オレが駄菓子屋でインベーダーやってた事を先生にチクルような腐れ外道だ。気にくわねぇ。しかもコナンと聞いて名探偵と言っちゃうような世代に違いない。コナンと言えば未来少年じゃろが!
こうやって自分を慰める為に脳内で意味不明の正当化をし、核融合が起きたかのごとく上昇した体温を平常まで戻す。35歳にして我思う。最高の自慰とは倖田來未でもデラ・ベッピンでもなく、正当化だと。
部屋に戻り正月気分覚めやらぬテレビ番組を見ながら床につく。


ザザ〜ン カタカタ トコトコ
ザザ〜ン カタカタ トコトコ
波の音と、風で建物のいたるところから聞こえてくるラップ音が微妙に怖いと思うのもつかの間で、多分ものの数秒で即身仏のような眠りについた。
朝食の時間が8時半からだからそれに合わせて起床した。
思いのほか窓から見る天気は、昨日からは考えられないほどいいみたいで富士山もバッチリ。きっと昨日はポドリムスを移動してたんだな。
洗面所があるのにあえて景色のいい窓際の鏡台でコンタクトにチェイング!
完全に覚醒してない状態だから朝食の待つ大広間へ行く足もパンチドランカーのような頼りなさになってる。
大広間では殆どの人が既に食事中。フリーザーズも貸切カップルも貧民街の少年のようにがっついている。
こういう宿の朝食ってやっぱご飯と味噌汁に魚に海苔、たまごや納豆が付いてたりするじゃない?寝起きだからそんなに食べられるものじゃないし。そりゃぁまぁ高島忠雄一家のように朝からトンカツとかいうのもあるけど、ああいうのってやっぱ慣れだから。
自分達の食事が運ばれてきたときに一瞬止まってしまった。
頭の中に出てきたのは?マーク。大まかなものは他の宿と同じだけど、一人用の鉄鍋におかゆが入ってる・・・。おひつのご飯もある・・・。いやね、おかゆも好きですよ?白米も好きですよ?でもこのコラボは何かおかしいじゃない。微妙な嫌がらせですか?それとも米離れなどさせるか!という日本人補完計画の一つですか?
据え膳食わぬ男じゃないからこんなエキセントリックな朝食も味噌汁のネギ以外たいらげ、ゲップを繰り返しながら部屋に戻り出発の準備を始める。
いつものように無駄に30分かけて歯を磨く。
こんなけ時間を掛けてるのに一昨年歯槽膿漏で奥歯を一本抜かれた。本当に抜く必要があったのか定かじゃないけどとにかく抜かれた。その抜かれた奥歯のポジションに微妙にかぶる感じで親知らずが生えてくるというミラクルは普段から寺社巡りをしている恩恵に他ならないだろう。
「昨日ついに出た。」クモハが出立の用意をしながら話し始めた。
「昨日の夜、お前の上に女の人が乗ってたぞ。」
ついに見ちゃったらしいんですねぇ。半透明の人型浮遊体。前々から宿に泊まってはいたるところの御札を探して我が身を恐怖にやつそうとしていたから本望でしょう。実際の心霊スポットには頑なに行くことを拒むのにこういうところでは何故か意気揚々と御札を探すクモハをちょっと頭の弱い子を見るような目で見てたことは内緒にしておこうかな。
冥界の渚を見たというクモハをあやすように
「マジっすか?オレ腰動かしてました?」
なんて下世話な返しをすると
「オレの上にはハゲ坊主とイヌが乗ってた。」
と、返す刀で更にいう。
夢なのに自分の上には魑魅魍魎。若山牧水のようなハゲ坊主とブーメラン殺法でも繰り出しそうな犬が乗ってるのに少し同情。
まぁ、当然のように夢なんてそのストーリーに脈絡なんてないからね。とりあえず他愛無い会話として聞いておいてチェックアウトまでの残り5分をコタツで過ごす。動きたくな〜い。が、旅行に来た以上そんな性根の腐った怠け者の精神を抑え、鉄の意志を貫く。
清算を済ませて外へ出ると・・・す、凄い風じゃぁないですか!何ヘクトパスカルですか!?こりゃまたもや淡島やばいんじゃないか?とか思いながらロープウェイ乗り場へ向うと案の定。
駐車場で案内のオヤジに
「強風のために2時間ほど運行見合わせになってます。」
とか言われた。
「君と僕とはほとほと縁がなかったんだね。」
「そうね。私もあなたとの体の相性は良いと思うけどやっぱり・・・このまま別れましょう。」
「そうだな。・・・その前に、もう一回だけ。とし子!」
「あ、もう♪でも、こういう関係だけなら続けてもいいかも・・・」
「そうだな、かまわんよ。」
明星の付録を人生初のおかずにしたからか、ちょっとしたキーワードがあればどんな妄想でも可能にしてしまう。
・・・前日行こうとして入口を見つけられなかった沼津港大型展望水門「びゅうお」にむかおうか・・・
途中、海のあまりの荒れ模様に少年時代の豪雨で田んぼに水がプールのようにたまり、我慢できずに飛び込んだ日を思い出して同じように我慢できなくなり、道端に車を止めてカメラを構えた。
刹那!ザバーーーン!と弾ける波。偶然にも激写したけど、もちろんこの距離だから頭からかぶったよ。ずぶ濡れですよ。とまぁ、のっけから図らずも記憶に残ることになりましてねぇ。
ウキウキしながらびゅうおに到着。
昨日見過ごしていた作業用的な入口を発見してから近くに車を止めてまずは外観を撮影。風で荒れ狂う海を見て
「海が走っとるがや!」
とかクモハが名言を言い放つ。
的確な表現だ。流石はかつては神童と呼ばれた男。そのコメントは常に2手3手先を読んでいる。
登って外洋を眺めてしばし強風から開放された閉鎖空間で休憩。
所詮水門だからそんなに長い時間見てて楽しいものでもないから修善寺の修禅寺に行きますか。
こっちはこっちでいい感じの温泉街になっている。
修禅寺で朱印を貰いフラフラしていると電柱に付いてるスピーカーからちょっと悲しげな曲が流れてくる。またしてもクモハがニコニコーっと笑いながら
「お!お寺なのにポール・モーリアがかかってる!」
それはない!それはないから!クモハ。12時を告げてるのはお寺じゃなくて町のスピーカーだから!
朝食で散々炭水化物を貯蓄してるからお腹はこれっぽっちも減っていないので温泉街の散策と洒落込む。
 
何やら潰れてそうで潰れていないスナックや、ぼってるボットルシャテキなんて軽快に洒落を交えつつ付近を探索する。
 
おしゃぶり婆さんなんて微妙に遠慮したいネーミングに惹かれて軽い登山。もちろん見つけたおしゃぶり婆さんは自分の脳で描いていたおしゃぶりとは違うものでして、うすうす感づいていた子供のおしゃぶりの方でちた。ばぶぅ。
帰りの道々、日本坂PAでランチタイム。ハンペン等を反芻を繰り返しながら日本一を望む。と、物欲しそうに子猫がこちらを凝視してくるじゃないか。そうかいそうかい欲しいのかい♪しょうがねぇなぁ♪と肉まんの欠片をつまんで差し出すといきなり示現流ネコパンチ。その破壊力たるや、自分の中指に男の勲章が滴るほど。落ちた肉まんの欠片を美味そうに食す子猫を自分の前に立ちはだかる破壊紳でも見るかのように凝視。自身の精神が斜陽して行くのに人生の不条理を感じずにはいられない。
大人気ない感情を諌めてロータスヨーロッパを観賞しながら再び倖田來未のオッパイに埋もれるのでした。
そういえば、斜陽って太宰治の愛人が書いたラブレターをそのまま書いたんだってね。嘘か真か。

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