谷瀬の吊橋 その1
(十津川村  2008/3)

人の思い出って結構いい加減だ。昔好きだった映画も音楽も久しぶりに堪能すると当時の感動はほとんど得られない。30年ぶりに出会った初恋の人の眼尻に寄った皺を見て、甘酸っぱい記憶は飛んでいく…。まぁ、これは別の要因もあるわけだが、ともかく、思い出によってコンストラストの上がった記憶を、人はしゃぶりつくすよう反芻しながら生きていくものだ。


と、いうことは今まで2回渡って2回とも死ぬほど怖かった谷瀬の吊橋も、「思い出の法則」から言えば、思ったより怖いものではないのかもしれない…なんてことを思ったりしたわけで、長さ約300m、高さ54m、かつては日本一の高さを誇った吊り橋に3度目の冒険に挑んでみた。

吊橋近くの村営(おそらく)駐車場。
村一番の観光スポットとはいえ、普通車500円/台は滞在時間を考慮すると少々高めの設定。
それでもハイシーズンともなれば、駐車待ちの行列ができる。

吊橋すぐ脇の駐車場。
無料らしいが、売店の駐車場かもしれない。自分は気が弱いので有料駐車場に入れた。

通算3度目の谷瀬の吊橋。
初めて来たのは13年前くらいの平日早朝。気を失いそうなくらいびびりながら渡っていたら、反対側から自転車に乗ったまま通学する生徒が…。
jこれは、今でも人生の3本の指に入るカルチャーショックの一つだ。


ハイシーズンになると、20人フルとなる。人が多いので揺れはすごくなるが、びびる人も多いので気が楽になる。
やはり人は少ない方が怖い。

幅はこれくらい。
それほど狭いというわけではないのだが、板の隙間からはお約束の下界。

カップルに先を譲って、トライ開始。
過去2回に比べれば、足に震えが来ない。やはり思い出は現実とは違うのだ!

この日は風が少々強いようで、何やら橋が揺れる。下腹がシューシューするこの感覚、俗に言うところの「恐怖」がやはりやってきた。

以前は見かけなかった下の河原の「落書き」。富士山で有名になった例の落書きと同類のようだ。腹は立つのだが、目の前の恐怖に正直どうでもよくなる。


震えるぞ足!立つぞ腹!燃え尽きたぞ自分!

風速は軽く10mオーバー、すこぶる揺れる橋。
片手でワイヤーを握っていないと本当に体が持って行かれそうなので、片手で撮影。


怖いのもそうだが、変な揺れで気持ち悪くなってきた。開き直りの小走りで渡河成功。


吊橋全景。
いくら写真のサイズを大きくしたところで迫力は表現しきれないのだが、それでも載せたくなるのがHP管理人の性。

地に足をつけた状態で例の落書きを見る。ひどいものだ。

行きに道を譲ったカップル。
渡った直後は近くにいたが、橋の途中で「写真撮ってください」と言われたら嫌なので間隔をあけた。

ヒゲダンス好きのおじさん。
「一緒にやって下さい」と言われたら嫌なので間隔をあけた。

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