豊川海軍工廠での遭遇 (豊川市 2009/12) |
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HPを開設して7年、噂にきくクレームや文句のメールも今のところ無い。 「どこかに行って」、「写真を撮って」、「レポートを書く」、良い意味でも悪い意味でも平凡なHP運営が続く毎日。 そんなある日、ミジンコよりも動きが遅いと自負している掲示板に謎の人物からカキコがあった。 「underZeroファンクラブ豊橋市支部でお迎えいたします。」(豊橋市民さん/FC豊橋支部長さん) 最初は新手のねずみ講や新興宗教の勧誘、はたまた美人局かと勘ぐった。さらに「FC」とあったので新手のフランチャイズかサッカーチームの勧誘かとも思った。危険回避のため脳味噌をフル回転させたがハムスターが入って遊ぶ「まわし車」みたいに空回りするだけ。何の結論も出ないまま、豊川海軍工廠見学会に申し込んだ旨の返答をした。 返答を書き込んだのはいいものの、当日この人達が現れるかもしれない…。 「はっとしも筆皇も気が弱いとか言いながら、実は色々案内とかしてくれる気さくな奴なんだよな」とか誤解されてたらどうしよう…。そんな恐怖に立ち向かうには予習しかない。色々検索して他のHPでのオフ会の様子を調べてみた。 →予習したHP(ダイさん) そこでは管理人さんが複数の参加者を引率しており、皆楽しそうにポーズとかとってる。さらに管理人さんのプロフィールを見るとお褒めの言葉を頂けるほど他人を楽しませる能力をお持ちの様子。うむ、自分や筆皇では絶対に無理。楽しませるどころか会話すらままならない。 とはいえ、初めて「ファンクラブ」なるものを名乗る人に会ってみたい気もする。複雑な心境のまま、当日の朝を迎えた。 |
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自宅に迎えに来た筆皇の車で東名高速道路で一路豊川へ。しかしスイスイ走ったのも束の間、昨今の休日渋滞に加えて事故もあったらしく車は途中から全く進まない。集合時間に間に合いそうもなかったので、主催者である豊川市役所に遅刻の連絡をしつつ、高速を降りて下道を爆走した。 結局、出発時間から遅れること15分で豊川市役所に到着。工廠まで乗せてってくれるはずのバスの姿はどこにも見当たらなかった。 担当部署に電話をすると、やはり高速の事故渋滞で遅れる人がちらほらいるらしく、役所のワンボックスで工廠まで連れて行ってくれるという。一服しながら待つこと5分、他にいるはずの遅刻者は現れない。結局ワンボックスは市職員と自分と筆皇だけを乗せて市役所を出発した。 工廠に到着すると、入口付近に集団の姿が見える。幸いまだ見学は始まったばかりらしい。真っ白なワンボックスから降りて近づいてくる自分達に見学者の人々は警戒を含んだ視線を送ってくる。ノミの心臓を持つ人間はそういった他人の警戒心に敏感だ。とりあえず得意の媚びへつらいスマイルを浮かべて集団に合流した。 「はたしてFCの人達は現れるのだろうか?」、そんなことを考えながらカメラの準備をしていると人が近づいてくる気配がする。うつむいたまま視線だけ上げると微笑みを浮かべた男性がこちらを見たまま近づいてくる。 誰でもピンチになると「梅干しを食べた時のような顔」になると思うが、この時も顔面の筋肉が自然と硬直していくのが分かった。鼓動も早くなり、平常時は120回/分の心拍数が160回/分を超える。 男性は自分のすぐ脇で足を止めた。 男 「はっとしさんですか?」 は 「は、はいっ(裏声)」 男 「豊橋市民です。支部長も来てますよ。いやぁ、護送されてきたような登場の仕方ですね」 は 「きょ、恐縮です。あの、その、高速が混んでまして、…○△※!」 テンパりながらも、ピクッと動いた豊橋市民さんの眉間だけは見逃さなかった。 |
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今回は豊川市主催ということで情報が入手しやすかったためか、それまで参加したものより人数も多く、平均年齢も低かった。まぁそれでもアベレージ50オーバーだとは思うけど。 | |
何か話をしなくてはと思うのだが、話のネタがない。 は 「豊橋市民さんはいくつですか?」 豊 「フォーティーオーバーです。」 は 「そ、そうですか」 は 「ここは初めてですか?」 豊 「初めてです。」 は 「そ、そうですか」 テキパキと答える豊橋市民さん。それに対して自分はカラオケで出したくても出ないファルセット語尾が連発。 は 「最初、よく自分が自分(はっとし)だと分かりましたね」 豊 「え、えぇ…」 おや、これまでテキパキと答えていた豊橋市民さんの口調が重くなった。 ・・・ ・・・ このわずかな沈黙に珍しく自分の脳味噌がフル回転した。以下自分自身に対しての語り 「そうか、HPの写真見てればどっちが自分(はっとし)かなんて簡単に分かるわな。」 「目線が入ってるけど、「毛がある=筆皇」、「毛が無い=自分」という公式、要はハゲかハゲでないかなんて一目瞭然だし。」 「でもさすがに本人に向かって、『あなた毛が無いからはっとしさんでしょ』なんて言えんわね。」 豊 「な、なんとなくです・・・。」 は 「そ、そうですか…。」 いつもながら場が読めずに答えにくい質問をまたしてしまった。ここは得意のウィットに満ちた会話で乗り切るしかない…。 ただ自分の場合、ウィットに満ちてるつもりの会話が相手にはイヤミにしか聞こえないらしく、作らなくてもいい敵をほうぼうで作ってきたのだが。 |
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まずは連帯感を強めるための話題で。 「こうして大人数で歩いてると、ボコスカウォーズみたいですね。」 ・・・・・・ 返事が無い。 どうやら二人には聞こえなかったらしい。 認めたくないが、もしかしたら聞こえないふりをしてるのかもしれない。 うん、でもそれはそれでいい。相手を傷つけない日本人らしい対応じゃないか。 二人とも優しい人なんだ。 うん、良かった、良かった。 |
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火薬庫を見ただけで見学道中はUターン。 時間が無いとのことであるが、随分早い退却だ。まぁ自分の精神状態はそれどころじゃないからどうでもいいけど。 |
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それでも少しくらいは建造物を撮らねばと、列を離れてダッシュで土塁の中へ。とりあえず一棟だけは撮影できた。 | |
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入口近くの水槽で少々説明があって終了。恐らく前回と比較して半分もまわってない。 まわりのヒソヒソ声を聞く限り、かなり皆さんご不満の様子だった。 |
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支部長さんが同行していた朝日新聞の記者につかまりインタビューを受けるというイベントが発生したものの、無事市役所に戻った。とりあえず茶でも飲みますかということになり、昼食を兼ねてファミレスへ。 ファミレスに入ってやっと自分達も会話に慣れてきた感じがする。 遺跡や廃墟、幽霊話からなぜか夢の話まで会話のキャッチボールが軽やかに続く。なんだかご機嫌な気分だ。 は 「ところでなんでうちのHPの掲示板ってあんなに人が来ないんでしょうかね?♪」 豊・支 「・・・・・・!」 今思い出すと明らかに空気が重くなる質問だった。 二人共、「そりゃあんた、つまんないからでしょ」と言える人ではないらしく、返答に困っていたはずだ。 でも、ご機嫌な自分はそれに気付くことがないまま続ける。 は 「まぁ今ではそうでもないんですけど、たくさん人が掲示板にカキコしてくれるHPに憧れてまして♪」 は 「まぁ筆皇と会わせて結構レスしてるつもりなんですけどね♪」 ・・・・・・ 筆皇がチラチラこっちを見ていたが、この時は何とも思わなかった。 豊 「し、敷居が高いんじゃないでしょうか。」 は 「はぁそうなんですか、どうしたら人がたくさん来てくれますかねぇ♪」 豊・支 「・・・・・・。」 は 「レス書いてもそれっきりってパターンも多いんですよ♪ はっはっはっ♪」 豊・支 「・・・・・・。」 結局、話はなんとなく他に流れていき、この話題は終焉を迎えた。自分はご機嫌なままで。 |
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空回りの会話の様子。 満面の笑みを浮かべる支部長さん(奥)と比較して筆皇(手前)の笑みのなんと固いことか。 手元のナプキンはちまちまと50回ほど折り畳まれ、表面積は1平方ミリを下回っていた。 |
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食事が終わってとりあえず目線外しで記念撮影ということに。 右から支部長さん、豊橋市民さん、筆皇、自分。ちなみに独身は筆皇のみ。 まぁ空回りした部分も多かったが、有意義な時間を送ることができた。今後東三河地方散策の際にはご協力を頂けることになった。 |
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でも支部長さん、明らかに公式ポーズ失敗。 | |
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帰りの道中、筆皇がぽつりと言った。 「空気には重さがあり、それは変動する」 最初何のことか分からず、聞き返して初めてファミレスでの空気の重さの件を知った。 ハゲネタで痛い質問に気をつけようと心に誓いながら、気を許してまたやってしまっていた。人間40年近く生きると、なかなか本来の性質というものは変えられないのだ。それがよく理解できた一日だった。 |
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あとがき −筆皇筆− はっとしに加筆を頼まれたんですけど、もうね、はっとしが上で書いた事以上はないんです。この見学会。とても残念な内容でした。唯一良かった事が豊川支部さん達と知り合いになれた事。その辺の内容は上ではっとしが書いてしまっている。その上での加筆。心情的には「出来るかーっ!!」ってとこなんですけど、ここは一つ発想の転換ってやつで、「制約は活力になる」って持論を実践してみようかと。 イメージを付ける上で”順番”って中々大切なものだと思うんです。 怖い人がたまに優しくすると「あぁ、この人って実はやさしいんだ!」ってなるじゃないですか。これってギャップの一つだと思うんです。最初に”怖い”ってイメージを相手に植え付けることによってわずかな親切、わずかな優しさで相手に”優しい”ってイメージを何倍にも膨らませて植え付けるられるんです。逆に普段優しい人が怒ると「この人、怖い・・・」ってなっちゃう。 ド低脳な女がよく陥るもっともスタンダードな誘惑の甘い罠ですよね。冷静に考えたら沢山優しくしてくれる方が良いに決まってる。優しいって事に頼りなさを感じるド低脳な女もいるみたいですけど、それって優しさの有様を履き違えてるだけじゃないですか。 A子 「あたしの彼氏ねぇ、ご飯食べに行く時ね、何が食べたい?って聞いてくれるんだよぉ〜。優しくない〜?」 B美 「うそぉ〜!優しいーじゃん〜!」 A子 「だよねぇ〜!愛されてるって感じ?」 B美 「ちょ〜愛されてる〜!」 A子 「ちょっと頼りないけどね〜♪男なら引っ張ってって欲しいよね〜?」 B美 「ちょ〜ウケる〜!吉牛行くべ〜!って感じ?」 A子 「男らし〜!」 何故A子の語尾に疑問符が付くのかは自分も書いてて不思議だったんですけど、それはまた別のお話。とにかくこういうことなんです。何が食べたいのかを聞くのって別に優しさではないんです。牛丼を食べに行こうって提案した時に反対されるのが嫌だから先に聞いてるだけなんです。それを優しいって事にしちゃってるんです。 いいか、ド低脳なメス豚共!よく聞け!優しさとは!いいか!優しさとは!暗闇の中の… 話が逸れてしまいました。 相反する二つの事柄のどちらを前に持ってくるかによってイメージってものは変わってきます。”実は優しい”にしたければ最初に”怖い”を、”実は強い”にしたければ最初に”弱い”を持ってくればいいんです。 ただ、世の中の因果律によってそれが出来ないこともあるんです。 豊川海軍工廠の見学会って前にも参加したことあるんですけど、そのときに比べてとても質素。我が家から車で2時間かけて参加するほどのこともない、赤貧洗うが如き見学内容。レポートする気にもなれませんでした。おかげで豊川海軍工廠がすこぶるつまらないようなイメージを持ってしまった。 まぁ、そういうことです。 |
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