御在所岳中道(足ならし編)
(2006/8/15)

4日後に控えている久しぶりの泊りプチ登山を控え、増加する体重対策として8月に入ってから15キロぐらいの荷物をしょって毎日2キロくらい歩いていた。若干太くなったふくらはぎに自信を深め、足慣らしを兼ねてプチ登山をした。
行き先は、鎌ヶ岳の鎌尾根ルートにしようと思ったが、以前滑落していて縁起が悪いので、手軽な御在所岳中道とした。結果的にはこの選択は正解だった、日頃のトレーニングが不摂生な体にどれだけダメージを蓄積していたか知ることとなったからである。

9:00 中道登山口。
本当は7:30くらいから登るつもりだったのだが、いつもの通り寝坊。
トレーニングを兼ねているので、水4リットルその他、わざと多めにしょってみた。実際は昨年と比較して、水5リットル分の体重がプラスされている。

歩きだして5分、両足の土踏まずとふくらはぎがつりかける。足をかばって歩くと、心肺は震えるぞハート、燃え尽きるほどヒートする。


3分毎くらいに1分休むという、恐らくこの日御在所に登った人の中で最遅タイムで進む。抜いていく人々が「どうしてこの人は序盤でこんなに汗をかいているのかしら?(のび太調)」と、いぶかしげな顔を浮かべるのを見逃さなかった。

中道の序盤は特にV字型のルートが多い。


登りだして30分ほどで、この日のプチ登山を自分の歴史から抹殺しようと決意、とりあえず下りの為に靴を脱いでマッサージしてみる。すると足が治った。
いつもどおりの足だ。
ちょうど目の前を小さな子供2人を連れた家族が歩いている。
試しに彼らの後ろを歩いてみる。
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子供達の背中がどんどん小さくなっていく、子供達の談笑する声がどんどん遠ざかっていく。
いつもどおりの足だ、絶好調でもコースタイムに係数1.5をかけるいつもどおりの足だ。

10:00
コースタイムの2倍の時間をかけて「おばれ岩」到着。ここまでで既に10人以上の人に追い抜かれた。トレーニングしたのだから5人くらいにおさめたかった。

1リットルですませる予定だった水はとっくの昔に全て腹の中、いや大量発汗によって大気開放済みというべきか。

写真を撮る名目で休憩。
目指す御在所岳頂上はまだまだ遠い。どのタイミングで帰ろうかと自問自答。

10:23
中道の名物岩「地蔵岩」横から撮影。
もちろんこの1枚を撮るためだけにリュックを降ろして5分の休憩をとっている。

地蔵岩、正面。
やはりガスがかかっているが、思ったよりは展望が利いた。


トレーニングの結果を過信しすぎてこの結果、「こんなはずではない…、こんなはずではない」とつぶやきながら歩く。

鈴鹿の山の中で一番好きな鎌ヶ岳。プルプルと小さく震動する足を見ながら、鎌尾根歩きを選択しなくて良かったと心から思う。

2年前に滑落した山頂付近。
意味もなく65リットルリュックをしょっていたので頭や背骨のダメージがなかったのが幸い。かわりに強打した尻はこのとおり。


鎌ヶ岳の隣に見える雲母峰(多分)。
右下の宗教施設跡チックに見える石群がなかなか良かった。

キレットの岩場をへっぴり腰で下り、岩をトラバースする。先を見ると舞台状になってる岩盤上でお弁当を食べてる人がいる。

11:53 舞台状岩盤着。
トラバース地点を撮影、写真中央やや左がトラバース地点。


途中追い抜かれたおじさんが昼食を食べ終わって後片付けをしていた。飯を食っていたとはいえ、なんとか追いついたのが嬉しくて話しかけた。
「頂上前にお食事ですか?」

「いやいや。頂上がすごい人だかりでね、落ち着かないから、ここまで降りてきて昼食とってるんだよ」
「はぁ、もう登って降りてきたんですか?」
「うん。そういえばあなた途中で会いましたね、えらくのんびり登って…」
おじさんはそこまで言うと、ワナワナしている自分の表情に気付いたらしく、バツが悪そうにそそくさと降りて行った。


「のんびり登って…」
「のんびり登って…」
「のんびり登って…」

分かっていても人に言われると哀しい。
混んでる頂上を避け、自分もここで昼食をとることにする。そう、男は涙を見せぬもの、見せぬもの。


気晴らしにパノラマで景色を撮影するも、縮小すると迫力なし。「死して屍拾うものなし」にフレーズが似ているが、意味は全く違う。

望遠で撮影した石人岩。勝手に命名してみた、それくらい許されるだろ。

モチベーションがすこぶる下がってしまい、頂上への登頂はパス。1時間以上景色の良い岩の上でゴロゴロしていた。舞台状岩盤は景色がいいので、休憩をとる人が多い。そんな人々に「頂上は人がいっぱいらしいですよ、おまけに風が通らずに暑いらしいですよ、へへへ…」とモチベーションを下げるセリフを吐き続ける。

13:51
行きに撮り忘れたキレット部分を撮影。
登り(下山する際は登る)はそれほどでもないが、下り(登頂する際は下る)はすこぶる怖かった。

鎖もあるが、鎌ヶ岳のロープ切れ事件もあるので、今は鎖であってもなるべく使わないようにしている。

上から撮影。御在所岳を中道で登る際はこの下りがルートとなる。奥の切れ込んでいく箇所を見ると恐怖倍増。

なんとかキレット部の岩場を登り終わって、休憩。ロープウェイが見え、ちょっとだけ優越感(俺は自分の足で登ってるんだぜぃ)を持てる場所。
こちらが優越感を抱いていてもロープウェイの客が劣等感を持ってるわけではないのだろうが。

登りも下りも満員のご様子。

14:50
プルプル震える足でやっとこさ下山。体力がほとんど残っていなかったので、帰りの写真撮影はほとんどなし。


頂上まで行っていないにも関わらず、休憩時間を除いて往復6時間弱。4日後の泊りプチ登山に多大なる不安を残してこの日は暮れていった。

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